株式会社ザスモールシングス(本社:東京都港区、代表取締役:田上悦史、以下TST)は2026年10月23日、プロスポーツクラブ向けの年次サービス「ホームタウン決算(仮称)」の入口として、無料の自己点検「ホームタウン活動 改善サイクル 現在地チェック」をWeb上で公開しました。あわせて、クラブからの相談受付も始めています。このサービスは、クラブのホームタウン活動を「決める→動かす→測る→使う」というサイクルで一巡させるものです。測った結果は、翌年の予算、スポンサー更新、自治体との協定の判断に結びつけます。2026年度の提供は2クラブに限り、招待制で実施します。

「参加者◯人」の報告では経営判断に生かしにくい
背景には、リーグの節目があります。2026年、Jリーグは秋春制への移行に伴い8月開幕の新シーズンを迎え、Bリーグは新体制「B.PREMIER」の初年度に入りました。「B.LEAGUE×日本財団 まちづくり助成」では2026年度に28クラブが採択されており、各クラブには成果の報告と次期の申請が求められています。
クラブのホームタウン活動は、学校訪問や巡回教室、防災や健康のプログラムなど、年間を通じて多数にのぼります。一方で、その成果は「参加者◯人」という形で報告されることが多く、翌年の予算配分やスポンサーへの説明、自治体との協定継続といった経営判断には使われにくいのが実情です。現場の担当者からは「自分たちの活動を相手に良いと思ってもらえているか分からない」「今の活動が良いのか分からない」という声が聞かれます。また、スポンサー企業は支援を続ける意義を、自治体は協業の根拠を、それぞれ説明できる形で求めています。報告の暦が変わる今年を「測って、翌年の判断に使う」1年に変えることが、サービスの出発点だとしています。

12問・約5分で現状を整理できる無料チェック
現在地チェックは、相談の前にクラブの担当者や経営者が自分たちの現在地を整理するための自己点検です。主な仕組みは次のとおりです。
- 設問:判断との接続、対象とデータ、体制と時間、財源の見通しの4つの軸について各3問、計12問。所要時間は約5分
- 結果:「まず整える」「使い道はある・測れていない」「測れる・使い道が弱い」「準備あり」の4タイプと「次の一手」を表示。メールアドレスを入力すると、結果をまとめた「現在地シート」が届く
- 特徴:担当者と経営者が別々に答えると、組織内で認識が分かれている点が分かる。担当外の設問では「分からない・担当に確認」を選ぶことができ、未確認でも減点にならない
- 個人情報:所属・氏名の入力は任意。活動参加者の個人情報は入力しない
- 位置づけ:結果は相談前の整理にとどまり、実施の可否や計測の方法は相談とデータ点検で確認する
サービスを支える3つの特徴
1つ目は、年に一巡するサイクルです。シーズン前には、今季の論点、何を測るか、費用がどこから戻るかを「決める」。シーズン中は、月次の伴走、行政・企業への翻訳、データ収集を通じて「動かす」。シーズン後には、計算を作る役割と検証する役割を分けて「測る」。そして更新期の前に、関係者との結果セッションや経営者向けの1枚を通じて「使う」。測って報告書を作って終わりにせず、翌年の予算・更新・協定の判断に使うところまでを1年で一巡させます。
2つ目は、「続ける・変える・やめる」の判断軸と、活動の先にいる人々の360°の声です。社会的投資収益率(SROI)の方法論に基づき、関係者にとって重要な変化が起きているか、費用と工数に見合っているか、翌年の財源・協定・更新につながるか、といった問いで活動ごとに整理し、経営者向けの1枚にまとめます。受益者とその保護者、学校、自治体、スポンサー企業、地域住民、現場スタッフの声は第三者が聞き取り、良い声も厳しい声も要旨で届けます。計算過程は開示し、関係者とのセッションを通じて、取り組みを大きくしていく仲間やエコシステムを構築していく考えです。成果物は、スポンサーにとっては「支援の意義」、自治体にとっては「協定や施策の説明資料」としても活用できます。
3つ目は、行政、民間、中小企業、スポーツ組織という多様な視点からの”カイゼン”と”コーディネート”です。TSTのメンバーは、行政、スポーツ組織、上場企業、コンサルティング会社など、業種や立場をまたいで働いてきました。TSTはそうしたメンバーの暗黙知や形式知をもとに、活動の改善案をともにつくり、行政・企業・学校・現場の言葉を訳して関係者の間を取り持ちます。「予算の通し方」「協定の更新の切り出し方」「スポンサーへの見せ方」のように、現場だけでは言葉にしにくい知恵を施策に反映できるとしています。
2026年度は2クラブ限定、相談は随時受け付け
利用の流れは、現在地チェック(無料)、30分の構想相談(無料)、有償診断の順です。有償診断は「S:1活動・2週間」と「M:3活動・4週間」の2種類で、診断後は月次の伴走か、担当者が自分で回せる仕組みづくり(内製支援)かを選びます。TSTは、内製化して伴走を卒業する形も成功と捉えています。初年度は、一緒に取り組むクラブの工数や実際にかかる時間を確かめながら進めるため、2026年度の提供を2クラブに限り、招待制としました。相談は随時受け付けており(初回30分は無料)、枠が埋まっている場合は2027年2月以降の枠を案内します。料金は相談後に料金表で示されます。計測・検証に参画する研究者は現在調整中で、担当者・分担・検証範囲は発注前に提示するとしています。
TSTは自社を小さな会社と位置づけ、少ない数から始める方針です。国内外の多くの団体へ同時に価値を提供できる体制ではないとしています。また、指標の辞書、収集の様式、月次1枚・年次レポートの型、判断軸といった方法論と型を共有し、地域で一緒に実装する事業者(調査会社、大学、クラブ支援会社、代理店など)からの問い合わせも受け付けます。
代表取締役の田上悦史氏は、ホームタウン活動を熱心に続けているクラブほど「相手に良いと思ってもらえているかは、本当は分からない」と口にすると指摘します。活動の回数は数えられても、受け止められ方は自分たちでは測れないためです。そこで、第三者が活動の先にいる人の声を聞きに行き、翌年の判断に使える材料を編み、関係者とともによりよい地域と活動に向けた作戦会議を行う。続けるべきことは続け、直すべきことは直す――その判断を年に一度、暦の中で締めることが「ホームタウン決算」という名前に込めた思いだと語っています。なお、名称は仮称で、測った結果を毎年締めて翌年の判断に使うという意味で「決算」の語を用いています。正式名称は、2026年度の2クラブとの取り組みを経て決定します。